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コラム COLUMN

遺言書とエンディングノート、どちらも大切な終活アイテムですが、その役割や使い方には違いがあります。遺言書は法的な効力を持つ一方、エンディングノートは自由に自分の気持ちや希望を伝えるツールとして活用できます。このブログでは、二つの違いや併用のメリット、具体的な書き方・保管方法について詳しく解説します。自分らしい終活のために、ぜひ参考にしてみてください!

はじめに 遺言書とエンディングノートの違いとは?

遺言書 エンディングノート
終活を考え始めると、まず「遺言書」と「エンディングノート」という言葉が出てきますよね。どちらも自分の意思を家族に伝えるための大切なツールですが、それぞれ役割や効力が異なります。

遺言書は、財産の分け方や相続人に関する法的な意志を正式に残すためのもので、きちんとした形式に沿って作成することで、亡くなった後に法的に効力が発生します。一方で、エンディングノートは、法的な制約がない自由なノートとして、自分の想いや希望を家族に伝える役割を持っています。人生の振り返りや、感謝の気持ち、最期の願いなどを、書く人の気持ちに沿って綴ることができます。

遺言書もエンディングノートも、どちらも大切ですが、それぞれの特性を知っておくことで、自分に合った準備ができるようになります。このブログでは、遺言書とエンディングノートの違いや、それぞれの活用法について詳しく解説していきます。

1・目的の違い

遺言書とエンディングノートは、どちらも自分の想いや意思を残すためのツールですが、その目的は大きく異なります。遺言書は、自分が亡くなった後、法的な効力をもって財産や相続についての意思を実現するためのもので、家族に混乱が生じないようにする重要な役割があります。一方で、エンディングノートは法的効力はないものの、自分の気持ちや感謝、希望などを自由に綴ることで、家族が故人の想いをより深く理解できるようにするためのツールです。

それぞれの目的が異なることで、終活の中で果たす役割も変わってきます。このセクションでは、遺言書とエンディングノートが何を目的としているか、その違いについて詳しく見ていきます。






1-a 遺言書の目的

遺言書の主な目的は、法的な効力を持って自分の財産や相続についての意思を確実に実現することです。具体的には、以下のような目的があります:

相続人に明確な指示を出す
財産分配の指示を明確にすることで、家族間でのトラブルや混乱を防ぎ、遺産相続をスムーズに行うための指針となります。

特定の人に資産を残す意思を示す
家族や特別な関係にある人、または団体に対して自分の資産や思いを残したい場合、遺言書があればそれを法的にサポートできます。

法的に認められる証拠を残す
遺言書は法的な書類として効力を発揮するため、内容に基づいて裁判所が遺産分割を支持する証拠となります。

1-b エンディングノートの目的

エンディングノートの目的
エンディングノートは、法的効力は持たないものの、自分の想いや希望を自由に表現し、家族や大切な人に伝えることを目的としています。具体的には、次のような目的があります:

自分の人生の振り返りや感謝の気持ちを伝える
自分史として、これまでの思い出や感謝の気持ちを言葉に残すことで、家族や友人に心温まるメッセージを伝える手段となります。

最期の希望や意思を明確に伝える
葬儀の希望、残しておきたい品物、供養の仕方などを記すことで、家族が故人の意向に沿った対応をしやすくなります。

自分のライフスタイルや価値観を共有する
大切にしている価値観や自分らしい生き方をノートに綴ることで、家族が自分の想いを受け取りやすくなります。

2・内容の違い

2-a 遺言書の内容

遺言書には、法律に則った具体的な内容が求められ、以下のような情報を含むのが一般的です。

財産分配に関する具体的な指示
遺言書の主要な内容は、自分の財産をどのように分配するかの指示です。銀行の預金、不動産、株式など、財産の種類ごとに相続人への配分を明記する必要があります。

相続人の指定と遺留分の考慮
法定相続人(通常、配偶者や子供)がいる場合、法律上、特定の相続人に最低限の取り分(遺留分)が保障されています。遺言書ではこの遺留分を考慮しつつ、自分の意思を反映させる形での財産分配を指示することが重要です。

特別な配慮が必要な人や団体への配分
遺言書を用いることで、法定相続人以外の特別な相手(友人や慈善団体など)に財産を譲りたい場合、その意志を記録することが可能です。

執行者の指定
遺言書の内容を実際に実行する役割を担う執行者を指名することができます。執行者には弁護士や信頼のおける家族を選ぶことが一般的で、遺言内容をスムーズに実現するための重要な役割です。

その他の法的な意思表示
遺言書では、例えば未成年の子どもの後見人を指名することも可能です。法的に守られるべき事項であれば、遺言書に記載することで効力が発揮されます。

2-b エンディングノートの内容

エンディングノートは、法的効力がない分、自由に自分の気持ちや希望を書けるツールです。以下のような内容が含まれることが多いです。

自分の人生の振り返り
エンディングノートには、幼少期から現在までの思い出や、人生の転機となった出来事など、自分のライフストーリーを振り返る形で記録することができます。これにより、家族が故人の人生を深く知ることができます。

感謝の気持ちやメッセージ
遺族や大切な人への感謝の気持ち、伝えたいメッセージを書くことで、故人の思いを残すことができます。これにより、残された家族が故人の温かい心を感じられるのがエンディングノートの良い点です。

葬儀や供養に関する希望
自分が望む葬儀の形式や場所、音楽の希望、宗教的な儀式の有無などを記載することで、家族が故人の希望に沿った葬儀を執り行いやすくなります。

自分史や自分らしさの記録
エンディングノートは、趣味や価値観、大切にしている物、友人やペットへの愛情など、法的な事項に関わらない自分らしさを残すための記録にも最適です。家族にとっても、故人の個性や人生観を知るきっかけとなります。

今後の家族へのお願いやアドバイス
これからの家族の人生に対するアドバイスや、たとえば「年に一度は家族で集まってほしい」など、希望を伝えることもできます。家族にとっても、故人の思いを共有することで今後の絆が深まるきっかけとなります。

財産や重要な連絡先のメモ
法的な分配指示ではなく、銀行口座や契約情報、保険の連絡先など、家族が手続きをする上で役立つ実務的な情報をメモ的に残すことも可能です。

エンディングノートはこのように、自由に感情や価値観を表現するためのものであり、法的な拘束力はありませんが、家族にとって心の支えになる内容を含むことが特徴です。

3・それぞれの作成方法

3-a 遺言書の作成方法

遺言書には、法的効力を持たせるための形式が定められています。主な作成方法は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。自筆証書遺言は、遺言者本人が遺言内容を自筆で記し、署名と日付、押印を行うものです。2020年より、法務局での保管制度が始まり、正式に保管すると紛失や改ざんのリスクが減りますが、書き方に不備があると無効になる場合もあるため注意が必要です。公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成し、証人2名の立ち会いのもとで署名・押印を行う方法です。信頼性が高く、内容の確認が簡単ですが、公証役場での費用が発生します。どちらの場合も、相続人や財産内容の明確な記載が求められ、遺留分の考慮や、遺言執行者の指定も行います。法的効力を持たせるには、形式の順守と正確な記載が重要です。

3-b エンディングノートの作成方法

エンディングノートは、法的な拘束力がないため、自由な形式で自分の気持ちや希望を書けるツールです。まず、記入項目が整った市販のノートやインターネット上のテンプレートを利用すると便利です。記入内容としては、家族や友人へのメッセージ、葬儀に関する希望、重要な連絡先などが一般的です。また、人生の振り返りや感謝の気持ちを記しておくと、家族が故人を偲ぶための貴重な資料となります。エンディングノートは定期的に見直し、情報が古くならないようにすることが重要です。また、保管場所を家族に伝えておくか、信頼できる人に存在を知らせておくと、家族が困らずに対応できるでしょう。






4・それぞれの保管方法

4-a 遺言書の保管方法

遺言書の保管方法は種類に応じて異なり、法的効力を確保するための工夫が必要です。自筆証書遺言の場合、自宅で保管すると紛失や改ざんのリスクが高くなるため、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用することが推奨されます。この制度では、遺言者本人が法務局に遺言書を提出し、専用の保管庫で保管されます。保管後は遺族が遺言書の所在を確認しやすく、家庭裁判所での検認も不要になるため、スムーズに遺言内容が実行されます。公正証書遺言の場合、原本は公証役場で保管され、遺言者本人が控えを持つ形となるため、改ざんのリスクがほとんどありません。また、相続人が公証役場に照会することで遺言書の有無を確認でき、信頼性の高い保管方法といえます。いずれにしても、家族に保管場所を伝えておくか、信頼できる人に存在を知らせておくことが大切です。

4-b エンディングノートの保管方法

エンディングノートには法的効力がないため、保管場所に関する特別な規定はありませんが、家族が内容を確認しやすいように保管しておくことが重要です。保管場所としては、自宅のわかりやすい場所に置く方法が一般的です。例えば、家族にすぐ見つけてもらえるようにリビングや寝室の引き出しなど、家族が普段からアクセスしやすい場所に保管するのが良いでしょう。また、家族が見つけやすい場所に「エンディングノート在中」と書いた封筒に入れておくのも良い方法です。デジタル版のエンディングノートを使用している場合は、パスワードやアクセス方法を信頼できる人に伝えておくと安心です。エンディングノートの存在を知らせておくことで、家族が困らずに対応でき、故人の意向がよりスムーズに尊重されるでしょう。

まとめ 自分に合った準備をしよう!

遺言書 エンディングノート 違い まとめ
遺言書とエンディングノートは、それぞれ異なる目的を持つ重要な文書ですが、併用することで相乗効果を得ることができます。遺言書は法的効力を持ち、相続や財産分配に関する具体的な指示を明確にします。一方、エンディングノートは、人生の振り返りや感謝の気持ち、葬儀に関する希望など、家族に伝えたいことを自由に表現できる場です。

両者を併用することで、法的な手続きをスムーズに進めるとともに、家族への想いや希望を丁寧に伝えることができます。遺言書で法的な問題を解決し、エンディングノートで感情や価値観を共有することで、残された家族が故人の意向をより深く理解し、心の整理がしやすくなります。このように、遺言書とエンディングノートを併用することは、終活の充実度を高めるために非常に効果的です。