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コラム COLUMN

「そろそろ親の終活を考えてほしいな……」

40代・50代になると、ふと頭をよぎる「親の終活」という言葉。 でも、いざ伝えようとすると、心の中に大きなブレーキがかかりませんか?

「なんだか親の終わりに向けた準備を急がせているようで、申し訳ない……」 「縁起でもない話をして、親子関係がギクシャクしたら嫌だな……」

そうやって不安になり、結局口をつぐんでしまう。あるいは、意を決して話を振ってみたものの、親から「私はよく分からないから、全部あなたに任せるわ」と返されて、別の重荷をズンと背負わされてしまう……。

信頼されている嬉しさよりも、ぶつけようのないプレッシャーと寂しさで、身動きが取れなくなってしまう方は実はとても多いのです。

今回は、プロの立場として、そして実際に「全部任せる」と言われて悩んだ一人の子どもとしての視点から、その心のモヤモヤをふっと軽くする「親の終活の優しいはじめの一歩」をお届けします。

なぜ切り出すとギクシャクしてしまうの?

私たちが「終活してね」と言うとき、心の中には「万が一のときに親が困らないように」「手続きでパニックにならないように」という、いっぱいの愛情がありますよね。


でも、受け取る親御さん側からすると、急に「終わり」を突きつけられたような、少し寂しい気持ちになってしまうことがあるんです。この「お互いの優しさゆえのすれ違い」こそが、ギクシャクの原因です。


さらに、親の「全部任せる」という言葉も、実は冷たく突き放しているわけではありません。
「難しそうでどこから手をつけていいか分からない(=思考停止)」だったり、「子どもに迷惑をかけたくないから余計な口を出さないでおこう(=遠慮)」だったりすることがほとんど。


終活は、人生の幕引きのための準備ではありません。「これからの人生を、もっと安心して、お互いに笑顔で過ごすため」の前向きなステップなんです。


目的が「もしものための暗い話」ではなく「これからの安心のための明るいおしゃべり」だと分かれば、ギクシャクはすっと消えていきます。

ギクシャクを回避する、魔法の切り出しフレーズ

その1 「私が困るから助けて」と主語を自分にする

「お父さんに万が一のことがあったとき、私、手続きとか全然分からなくてパニックになっちゃうと思うんだよね。私を助けると思って、少しだけ希望を教えてくれない?」


「お父さんのため(=終わりへの準備)」ではなく、「私の安心のため(=お願い)」に主語を変える方法です。親にとって、子どもから頼られるのは嬉しいもの。「子どもが困らないように」という目的があれば、前向きに動いてくれます。

その2 「全部は無理だよ」と素直に甘えてみる

「全部任せる」と言われたら、こう返してみましょう。

「任せてくれるのは嬉しいんだけど、私一人で勝手に決めちゃうとお母さんの好みに合わないかもしれないから、クイズみたいに何個かだけヒントをちょうだい?」

大きな塊を小さく小分けにして、一緒にパーツを拾い上げていく聞き方です。これなら子どもの側の負担もぐっと軽くなります。

その3 日常のニュースや「自分の話」をクッションにする

「昨日テレビで、芸能人の〇〇さんが終活の片付けをしてるのを見たんだけど、実家にも古いアルバムとか結構あるよね。今度一緒に見てみない?」

「私も最近、自分の将来のためにノートを書き始めてみたんだよね」

世間の話題や自分の体験を挟むことで、重苦しい空気にならずに「おしゃべり」の延長としてスタートできます。

まずはこれだけ!親子で進める「はじめの一歩」3ステップ

切り出しのコツを掴んだら、まずは簡単なことから始めてみましょう。難しいお金やお墓の話は、ずーーーっと後回しで大丈夫です!

ステップ1:まずは「楽しい思い出話」を聞く

終活の基本は、その人の「人生の棚卸し」です。

「お母さんが若い頃に一番楽しかった旅行ってどこ?」「子どもの頃、どんなお菓子が好きだった?」
そんな、なんてことない思い出話を聞くだけで立派な終活。親御さんの「好きなもの」のデータが集まるだけで、万が一のときの選択がぐっと楽になります。

ステップ2:日常の「ちょっとしたお困りごと」を解決する

「実家の片付け(生前整理)」をしようとすると拒否されがちですが、「高いところの荷物を下ろすよ」「重いものを代わりに片付けるね」というお手伝いなら受け入れてもらいやすいです。一緒に手を動かしながら、「これ、大事なもの?」と宝探しのように仕分けていきましょう。

ステップ3:ノートの「楽しいページ」から埋めてみる

もしエンディングノートを開く機会があったら、財産や病気のページは閉じておきましょう。

「好きな食べ物」「お気に入りの音楽」「ペットのこれからのこと」など、書いていてワクワクするページから、お茶を飲みながらゲーム感覚で埋めていくのがおすすめです。

終活は、最高の「ありがとう」を伝える時間

「縁起でもない話みたいで切り出すのが申し訳ない」
「全部任せるって言われて重荷に感じる」

そうやって悩んでしまうのは、あなたがそれだけ親御さんのことを大切に想い、真剣に考えている証拠。決して冷たいわけでも、薄情なわけでもありません。

終活は、寂しいものでも、義務感でやるものでもないんです。


本当は、「これまで育ててくれてありがとう」「これからも安心して長生きしてね」という、家族の絆を深めるための、とってもあたたかい時間。


一度に全部やろうとあせらなくて大丈夫。


まずは今週末、「最近どう?」と電話を一本かけて、親御さんの声を聞くことから始めてみませんか?
その一言から、優しい終活はもう始まっていますよ。